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マン・レイ

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『黒と白』 マン・レイ作


横と縦。女と男。白人と黒人。理知と野蛮。発展と退行。科学と宗教。人間と人工物。

 
あらゆる対比を内包してなお、美しいバランスを保っているこの写真はマン・レイの作品の中でも最高傑作と言われている。
 
100年ほど前のパリで、写真とは建設記録や絵画を写し取る記録の役割でしかなかった。しかし、マン・レイやその他の写真家の活動により30年近くかけて写真は芸術まで昇華したのである。
 
特にダダイズムやシュールレアリスムに通じるこの一枚は、人々がそれまで写真に対して抱いていた概念を覆した。現代写真の芸術的評価につながる偉業である。
 
また、マン・レイは数々のポートレイト(肖像写真)を手掛けていた。
生涯のうちに、ピカソ、ジャン・コクトー、ヘミングウェイ、エリック・サティ、エヴァ・ガードナー、イサム・ノグチなど芸術のジャンルを超えた数々の偉人の肖像を写し取っている。今日にもその人物を割り当てる資料として使われるほど、マン・レイの写真は歴史的観点からも重要なのである。
 
↓ ↓ ↓ ↓

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マン・レイ。本名エマヌエル・ラドニツキー(1890年-1976年)、アメリカ生まれ。
アメリカで、ダダイズムの巨匠マルセール・デュシャンに出会い、ともにニューヨーク・ダダを創始した。その後、パリに移り住み芸術写真家としての地位を確立した。
 
もともと画家を志していたマン・レイは当初、自分の絵画を記録するために写真の技術を身につけた。しかし、写真の可能性を予見した彼はパリで本格的に傾倒していくことになった。レイヨグラフやソラリゼーションなど、古典的な写真技法を生み出したのも彼である。
 
ちなみにマン・レイの作品である『ガラスの涙』は、7年前オークションにて2000万円で落札され、世界でもっとも値段の高い写真となった。
 
 
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『白と黒』のモデルの名はキキ・ド・モンパルナス。彼女はキスリング、モディリアーニ、藤田嗣治など才能あふれる画家たちがこぞってモデルを依頼する、伝説のキキと呼ばれる女性であった。
 
マン・レイの恋仲となるが、彼が芸術家として認められ始めるなかで破局。その後、キキの生活は荒れ、麻薬に手を出したのちに水腫で死亡。

彼女の葬式には、藤田嗣治とわずかな人々しか参列しなかったという。
 
マン・レイが登りつめる間に、キキは地に伏したままこの世を去る。この人生の対比が、二人が愛し合う最中に生まれた『白と黒』の中に、結果的に、暗示されることになる。こうした残酷な皮肉もまた「芸術」なのである。
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