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『街角の神秘と憂鬱』 デ・キリコ作
私はどこかでこの風景を見たことがある・・・。
斜陽の街角を、少女が輪回しをして駆け廻っている。
暗い空に、旗がひるがえっている。
右側の建物の向こうには広場があり、像が立っているらしい。
像の長い影が、「もう遅いから帰りなさい」と、私を迎えに来たように見える。
はて、いったいどこで見たのだろうか。
この絵は人を選ぶ。
育ってきた環境が郷愁を感じさせるか、なにか心に訴えるものを記憶から呼び起こすか。それは、観者に依拠するからだ。
輪回しなんて遊びはしたことない、あんな西洋的な建物は家のちかくにはなかった。馬車?そんな古典的な乗り物はいまだ見た事すらない。
しかし、私自身はこの絵を見たとき、幼い日に体験した不安とも寂しさともつかない感情がこみあげてきた。
幼少の記憶というのが、自分という存在の根元に触れるものである気がして、深いところで絵と一体化してしてまうのだ。
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ジョルジョ・デ・キリコ(1888年-1978年)、イタリア出身。
1910年代に「形而上絵画」を発表する。
形而上派とは日常世界の背後にある世界を表現する。そこに合理性はなく、いわば肉眼では見えない精神世界を描くということだ。広場、長い影、マネキン、石膏像、汽車など・・・関連性のないモチーフを組み合わせることによって、未知の領域を広げていった。
デ・キリコの画家としての最大の功績は、こういったそれまでになかった新しい試みにある。
彼の形而上絵画は、現実を超えた超感覚な世界を絵画に表すという面で、エルンストやマグリットなど、のちのシュールレアリストたちに受け継がれていくのである。
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